地方公務員の試験内容

どの職種でも、まずは教養試験が一番先にあります。マークシート方式の5者択一問題です。出題分野は、一般的には次の通りです。

人文科学(日本史・世界史・地理・文学芸術・思想・国語)
社会科学(政治・経済・社会)
自然科学(数学・物理・化学・生物・地学)
文章理解(現代文・英文・古文・漢文)
数的処理(判断推理・数的推理・資料解釈・空間把握)
時事

次に職種別の専門試験があります。

マークシート方式の5者択一問題ですが、記述式が含まれる場合もあります。また、二次試験で記述式の専門試験を行う場合もあります。市町村公務員の事務系では出題されない場合もあります。

その代わりに適性試験(能力試験)がある場合もあります。一般事務職の場合の出題分野は、一般的には次の通りです。

行政系分野
治学・行政学・国際関係・社会学・社会政策等があります。時事が出題される場合もあります。
法律系分野
憲法・民法・行政法を中心に刑法・労働法・商法・国際法から出題される場合もあります。
経済系分野
ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学・経済政策・経済事情・経済史が中心です。経営学・国際経済学・計量経済学・統計学・会計学等から出題される場合もあります。

技術職の場合は、それぞれの専門分野に応じた専門科目の問題が出題されます。共通するのは、工学に関する基礎(工学の基礎)として数学・物理学が必須になっているところです。ただし、農学系の農業工学以外の職種を除きます。

最後に論文、面接が行われます。ここで職務に関する専門性、適性等の判断をされます。面接は、個別面接に加えて集団面接も行われるようになりました。

個別面接では、あらかじめ面接カードに自己PRや志望動機などを記入しておき、それを元に進められます。最近では、集団討論やプレゼンテーションなども行われつつあります。

警察官・消防吏員等の特に体力が必要とされる職種の場合は、体力測定もあります

地方公務員試験(初級事務職)の出題内容

地方公務員の事務職の初級試験は、1次の教養試験のウェイトが高いものとなっています。教養試験は、一般知識問題と一般知能問題とに分けられて、半分ずつの得点が与えられます。その内容は、以下のとおりです。

一般知識問題の内容は、高校の授業で習うレベルで、大卒の問題よりは易しくなっています。一般知能問題の内容は、問題を時間内に解く力が試される内容です。

この一般知能問題での結果が、大きく結果を左右する出題内容になっています。一般知識、一般知能伴に全て択一式になっています。

1次試験の科目別出題内訳

都道府県、政令指定都市
一般知識25問(政治3、経済2、社会2、日本史2、世界史3、地理3、国語3、数学1、物理1、化学2、生物2、地学1)
一般知能25問(文章理解9(現代文5、英文3、古文1)、判断推理9、数的推理5、資料解釈2)
市役所
一般知識20問(政治3、経済2、社会2、日本史2、世界史2、地理2、国語2、数学1、物理1、化学1、生物1、地学1)
一般知能20問(文章理解6(現代文3、英文2、古文1)、判断推理6、数的推理6、資料解釈

この他に論文試験適性試験面接試験があります。論文試験の課題は、良くある例題とほぼ同じようなものですのであらかじめ準備もしやすいものです。適性試験は、択一式のもので適性のない人をふるい落とすためだけのものです。面接試験は、個別方式にするのが通常ですが、自治体によっては集団面接方式や集団討論方式もあります

教養試験のいろいろ

一般教養と言われる通り、義務教育から長い間学校で学んだあらゆる事が全て試験の対象になっています。大きく分けて一般知能分野一般知識分野の二つに分けられます。

どちらも問題数は、多めになっていますが、一般的な試験であればレベルはそれほど高くはありません。それは公務員試験の特徴でもあります。

一般知能分野
時間をかければ、出来る問題も数多くあります。
限られた時間内でどれだけ正解を出せるか、それも能力を判定する基準になっているためです。
文章理解
主に現代文の解釈が出来るかどうかの試験です。試験によっては古文や英文などの問題も出題されているようです。

数的処理
一般知能が問われる試験の中心になってます。教養試験でも全体の4分の1ものの配点がされています。この分野を制しなければ、合格は有り得ないでしょう。数的処理は、基本的な数学力が無ければ、難しい問題です。それは苦手な人もいるでしょうが、それでも致命的な失点をしてしまわないようにしなければなりません。

時事
最近一年間内に起きた政治経済等の時事について、どれだけ理解しているかは必ず問われます。新聞ニュースをチェックしておき、世界全体の情勢を把握しておきましょう。

一般知識分野
自然科学
数学、物理、化学、生物、地学の理数系問題です。比較的基礎的なレベルに抑えてあります。

人文科学
思想、文学・芸術、日本史、世界史、地理の社会系問題です。これも比較的基礎的なレベルに抑えてあります。

行政職での専門試験のいろいろ

最も一般的な職種である行政職試験では、法律、経済等の専門的な知識が試験の対象になっています。広く浅くが一般的な行政職の仕事の特徴でもありますから、専門試験もそれに沿っています。

大きく分けて法律分野、経済分野、政治分野等に分けられます。試験によっては、出題範囲が微妙に異なりますので、必ずチェックしておきましょう。

憲法
日本国憲法に関する問題です。基本的な理解の上で判例の代表的なもの、例外事例などを知っておきましょう。法律と言えば、まずは憲法ですからここから押さえておく必要があります。
民法
民法に関する問題です。最も条項が多く、幅広い知識と解釈を理解しておかなければいけません。骨の折れる分野にはなりますが、差のつきやすい分野です。ここで点が取れれば合格の可能性は高まります。身近に感じられるので、学習も捗りやすいと言うメリットもありますので頑張りたい分野です。
行政法
行政法に関する問題です。国の行う行政の根拠を問われます。馴染みにくいですが、基本的な内容に留めてくれています。
刑法
刑法に関する問題です。問題数が少ない分野です。負担の軽い分野になります。
労働法
労働基準法、労働組合法、労働関係調整法などに関する問題です。試験によっては、出題対象外であることも多い分野です。事前に確認しておきましょう。
経済学
経済原論とも呼ばれます。ミクロ経済、マクロ経済に関する問題です。計算問題があります。
財政学
財政法、財政学に関する問題です。経済学と重複している部分もありますので、セットで取り組みましょう。
政治学
政治学に関する問題です。政治学も社会学や一般知識にまでも重複している部分もあります。
社会学
社会学に関する問題です。社会学も政治学や一般知識の思想関係と重複している部分もあります。
その他
商法、経営学、国際関係などいろいろあります。試験によって、良く出る問題とかに特徴がありますので研究しておきましょう。

論文試験は何が問題なのか

論文試験は、その時々で注目されている時事問題ですとか、受験職種についての考えを問うような問題が提示されます。時間は様々ですが、概ね1時間前後で1題を原稿用紙3~4枚で書き上げるようになっています

気張って対策を取らなくても、普段から習慣として新聞に目を通しておきましょう。地方公務員試験なら、県や市の広報などに載っていた事も問われるかもしれません

外交関係なら外交問題が問われやすいですし、職種によってポイントを整理しておくと良いです。問題の内容と自分の考えをまとめられれば、大丈夫です。

文章力だけは、確認しておきましょう。起承転結は出来ていなければいけません。時間もそれほどありませんから、何度か練習して慣れておくと落ち着いて対応出来ます。

また、論文試験ではそれほど差は付きません。人によって考え方はいろいろですから、問題になるのは文章の構成力です。念のために自分が書いた論文を、公務員予備校の講師に見てもらったすれば完璧です。

ただ、よほど自信があれば、そこまでしなくても大丈夫とは思います。

行政の課題がテーマであれば、その経緯などの概要を押さえて、次にどこからどんな問題が発生しているかを羅列します。そこを踏まえて、自分の考えをその根拠が第三者が明確に理解できるように構築すれば良いのです。

また、新しい試みについての提案でしたら、まずその概要を分かりやすくまとめて、それはどのような理由によるものなのか、その予想される成果を記述しましょう。

社会人から公務員になりたい人の志望動機

仕事をするなら人の役に立たなければやる気が出ないと思っている人は、極めて普通の人です。それは大人から子供までみんなそうは思っているのです。

ですから民間であろうがどこで何の仕事をしていても、人の役に立っていない仕事と言う仕事はなかなかありません。人の役に立つものづくりに一生懸命、頑張っている民間企業もあります。

しかしながら、民間であれば会社の都合による業務のウェイトはかなり大きなものとして降りかかってきます。いくら世のため人の為に役立った仕事をしたところで、会社自体が倒産しては何も残らないからです。

その点、束縛を抜きにして直接的に住民に貢献できる仕事が、公務員であれば期待できます。民間で頑張ってきたけれど、どうもやってる仕事が違うと感じている人は多いものです。

民間などの社会人から公務員になりたい人の志望動機は「もっと直接的に人の役に立ちたいから」の一言に尽きるのです。

もちろん、そう一言で言って済むのなら、面接など必要ありません。そんな事は分かりきっています。ここにも具体性が求められるのです。

これまでどんな仕事をしてきたけど、自分はこの自治体でどういう仕事がしたいのか、これを分からせなければいけません。

「今の仕事は与えられた販売実績のノルマをこなさなければ、給料に即、反映されてしまいます。生活があっての仕事ですから、ひたすらそれしか考えられない生活でしかありません。」「震災復旧の応援などもっと人道的な仕事に直接関わりたい。人の笑顔に接して心から喜びを分かち合いたい。」「公務員になりたいと思ったきっかけは、被災した親戚の家に応援に行ったことからです。

その時に公務員の方々が我がことのように対応していた様子が脳裏から離れられません。」

知らない人を短時間でいかに納得させられるかが面接のコツになります。利用するわけではありませんが、このような震災をテーマにしたものは共感が得られやすいとは言えます。

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